ポケダン 時と闇、そして大空へ 外伝『青き瞳』

これはまだ、ニゼットとラルクが出会ってなかった頃の話・・・。


昔、『コウラ池』という小さな池があった・・・。
その池にはめったに見かけないゼニガメカメールカメックスの親子が住んでいたそうな・・・。
父のカメックスガゼット』に母のカメール『ナゼル』・・・そして一人娘のゼニガメ、『ニゼット』が・・・。


ある日、父が珍しい病気、『甲羅滅(コウラメツ)病』に倒れた・・・。
この病は命に関わる病なのだとか・・・。
もちろん、幼きニゼットもこの事は理解はしていた。


そこである救助隊にその病を治すために『青き瞳(ブルーズ・アイ)』という珍しい薬石を頼む事にした。
この薬石さえすりつぶして飲めば治るのだという。


しかし、救助隊は『深海の森』という不思議のダンジョンに探しに行ったまま帰ってこなかった・・・。


「遅いわねぇ・・・もうあと3・4日も経っているのに・・・」
そこでニゼットは、
「・・・行くよ、ニゼ・・・行く!!」
しかし、幾多の無茶もあった。
彼女はまだ卵からまだ出て半年しかたってないというのに・・・
オマケに『深海の森』・・・別名『死の森』と呼ばれ、
数知れないほどの指名手配達もそこに隠れ住んでいるのだとか・・・
しかし、彼女の眼差しは止められないものだった・・・
「・・・いいわ・・・ただしあなた一人じゃ無茶だわ。
ある救助隊にあなたと同行させてもらうわ。それもあの有名なボルターズとね。」
「ぽたーじゅ?」


翌日・・・ボルターズはコウラ池前で待っていた。
ニゼットはすぐにわかった。
「君が幼くしてお父さんの為に?・・・すごいなぁ。」とラルクが一言。
「・・・とりあえず、『善は急げ』ってわけで早く行くぞ。」っとキモリは急ぐ。
「あいつ・・・ダ丈夫?」
「あぁ・・・大丈夫。相変わらずキモリはせっかちだから・・・。
とりあえず僕らも後れないように行こう!!」
「うにゅ!!(←返事)」


そして深海の森・・・
そこは昼間だというのに蒼く・・・今にも飲み込まれそうだ・・・
「うむ・・・噂どおりだ・・・」キモリはなにやら暗い顔で眺めてる・・・。
「何が?」とラルク
「ここは昔は『輝きの森』と呼ばれ、
ポケモン達の進化に深く関係しているところだったんだが・・・」
「もしゅかすっと、何かが無きゅなっちゃ?」
「ほほう・・・君は勘が冴えてるな・・・いかにもだ。
ただそれがわからないんだ・・・」
「つまり・・・その消えた原因を突き止めるのも今回の救助隊の依頼?」
「まぁな。あのゴールドランクのチーム『FLB』もこの方法で繰り上がったんだとか。」
「・・・あぁ、そうだったんだ。」
「たしゅたよう?」
「いや・・それはちょっと違う気が・・・」


そして、地下一階・・・二階と着々と進んでいった・・・。
そして地下十階・・・そこまでは二人だけでも順調だった。
だが、どこからか声がする・・・。


「ココカラタチサレ・・・ココハ・・オマエタチノ・・クル・ト・・コロデハ・・ナイ・・・」
三人は辺りを見渡した。
だが誰もいなかった・・・と思った次の瞬間!!
−ズバッ!!−
「んぐぁ!!!」キモリが何者かに頭上をやられた!!
−ザシュッ!!−
「うわぁ!!」続けてラルクも何者かに腕をやられた!!


二人はあっという間にやられてしまった・・・。
その直後、二人はどこかに飛ばされてしまった・・・。
「わ・・ラルクしゃん!キモリしゃん!帰ってぇきぃて!!」
「無駄ダ・・・コノ不思議ノダンジョンデハ、アットイウ間ニ外ニ放リ出サレルダケダ・・・」
「ダ・・・誰でしゅか!!」
そこには一体のゴーストがいた・・・。
だが彼女は初めて見た為、少々戸惑っていた。
「ワイの名は極悪非道の殺ポケ鬼、ゴーストの『黒夢(ダクム)』じゃぁ!!ワシャシャシャシャ・・・」
「・・・わわ!ママー!!パパー!!ポタージュの二人ぃー!!たしゅけてぇ!!」
ニゼットは今にも泣き崩れそうだ・・・
「・・・ワシャシャシャ!?泣かないでくれーな!!ほらっ!ワババァ!!」
その顔があまりにもニゼットは面白かったのか、
泣き顔があっという間に笑い顔になった。
「あはは!!変なのだぁ!!!」
「わしゃしゃあ!!」


バスッ!


・・・


それから数時間後、ようやくボルターズの二人がニゼットのいる階まで到着した。
しかし、彼女は無傷。疲れたのか寝てしまっている・・・。
そしてその隣では黒夢が、びしょびしょのうえ、傷だらけで倒れこんでいた。
「もしかして彼女が・・・?」
「・・・まさか・・・こいつは天性の才能を持つゼニガメなのかもしれない・・・」
「・・・確かにここにいるのはニゼットだけ・・・ありえるね。」
そして、そのままラルクが抱え込んだまま目的地へ到着した。
そこには微(かす)かな空からの光・・・そして枯れかけたオボンの木やオレンの木があった。
そしてその上を見ていると、イバラのツルが生い茂っていた。
「もしかしたらアレが原因?」
「うむ・・・・なんと単純な原因・・・・
・・・ん?そういえばあの青く輝くのはもしや・・・?」
・・・そう。アレこそが『青き瞳』だった・・・。
「確かブルーズアイって救助隊からの資料によると、
イバラに守られて存在するって・・・?」
「うむ・・・つまりは俺のタネマシンガンで周りをぶち抜けばいいんだな?」
「・・・かも。」
「うっし。タネマ・・・「ちょっとまれ!!」
直前になってニゼットが目を覚ました。
「な・・・なんだよ!!お前の親父さんの命がかかってんだろ?早いとこぶち抜かないと・・・」
「でもイバラが切れらら切れらで途中枯れへん?」
「あ・・・確かに・・・」
キモリの内心
((何だよ・・・ラルクは戦いに長けるし、こいつは謎解きに長けるし・・・・・俺だって・・・))
「しかしニゼットちゃんはどういう考えが?」
「根っこ!!」
「・・・・?」
「根っこを引っ張るんや!!」
「でも・・・どこに・・・イバラの根が・・・?」
「これ!!」
なんと、ニゼットはぱっと指を指し示し、『青き瞳』に絡み付いてるイバラの根であると指し示すのだ!
これには二匹とも、
「ま・・・まさかぁ・・・」と首をかしげる
恐る恐る、持参していたケンタロスの皮の手袋を装着し、引っこ抜いてみる・・・。
そして抜いた直後!!
しゅしゅしゅるるるぅ・・・・
なんと、イバラがキモリ達の手元まで辿っていくかのように縮んでいった!!
「なっ!!」「えぇ!?」
そして、イバラは緑色の透明なビンとなり、青き瞳を包んだ。
「・・・よ・・よしっ。これでこの森にも平和が戻り、薬の確保の方もバッチリだな。」
「・・・でもなんで・・・。」
「まぁいいやん!早くパパのトコに行こうで!!」
「う・・・うん・・・。」
ラルクの内心(そういえば・・・だんだん口調が成長しているような・・・)


それからキモリたちが森を出ると、そこには見慣れない光が背後で輝いている事に気づく・・・
二人は、「ん?」っと思った。
そして背後の森の方を見ると、森前面が輝いていた!!
「な・・・コレが深海の森なのか・・・」
「信じられないけど・・・コレが過去の深海の森・・・『輝きの森』・・・!!」
「き・・・きれいや・・・」
そしてその深海の森・・・いや、輝きの森の輝きは一転に集中し、元々の状態へと戻っていった・・・。
「・・・っさ、ニゼットの旦那が心配だ。一刻も早く戻るぞ。」
「うん!!」
「はいな!!」



こうして、ニゼットの父『ガゼット』の病は無事に『青き瞳』によって治ったのだった。
しかし、ニゼットはこの時ある決意をしていた。


それから季節は流れて春の始まる頃。
ニゼットの決意・・・それはラルク達『ボルターズ』とともに救助隊として活動し、
父の様に病に苦しむポケモン達の為にも薬を支援する事・・・。


早朝、ニゼットは何も家族に告げずにコウラ池から消える・・・はずだった。
しかし母『ナゼル』は気づいてないはずがなかった。
「ちょっと・・・」
ニゼットに近寄ろうとした・・・
「来ないで!!」
「わかってるわよ・・・でも・・・これだけは持っていって・・・。」
それは古びた父のゴーグルだった・・・。
「い・・・いいの?
確かに昔からこのゴーグルはお気に入りだったけど・・・。」
「いいの!
ただし、あなたが一人前になったら付けても良いわよ♪」
「ま・・・ママ・・・」
「さっ!あなたのチームもあそこで待っているわよ!!」
「え・・・。」
そこにはなんとチーム『ボルターズ』の姿が・・・
「っよ!」「待っていたよ!!」
「み・・・みんなぁ・・・」
ニゼットは腕をぐぐっと震わせた。
そのニゼットの瞳はまるで『青き瞳』のようだった・・・。


こうしてニゼットはボルターズの一員となった・・・。
数日、ナゼルが静かに息を引き取り、ガゼットはどこか遠くに旅立ち、消息が途絶えた。
しかし、ニゼットはそれでも立ち止まることはなかった。



−だってすぐそばに、パパとママがいるから・・・−






はい、終わりです。
マジで終わりです。
あと、絵の方は時期にうpします。
明日以降まで待て!!(ぇ